MUVEIL MAGAZINE vol.32 2021 PREFALL COLLECTION SUPERMARKET WOMAN 日々を豊かにする身近な存在に焦点を向けた2021 PREFALL COLLECTION。 フォルムが美しい果物や野菜や、目を見張るパッケージデザインが並ぶカラフルな陳列棚。 生活様式が変わった今、私たちのすぐ近くにある心躍るスポットにフォーカスしたコレクションです。 MUVEIL MAGAZINE vol.32ではデザイナー・中山路子と企画スタッフにインタビューし、制作秘話をお届けします。 今回のコレクションテーマにスーパーを選んだ経緯をおしえてください。 パッケージの何気ないフォントが有名なグラフィックアーティストであったり陳列ふくめて日常に潜むアートがあるこの場所にあらためて向き合いたいと思ったのがきっかけです。 「スーパーマーケットは、身近な美術館。」 生活がガラリと変わってしまった昨年行ける場所が制限されるなかで、以前耳にしたことのあるこのセリフが頭の中を反復しました。世界がふさぎこみがちでも、身近な場所で宝もの探しをする楽しみをお伝えすることを念頭に制作しました。 スーパーマーケットと言うと、明るくて店内が広い場所を連想しがちですがアーケード街にあるような所謂小さな日用品店もインスピレーション源としています。 店員さんとコミュニケーションを取りながらお目当てを探すワクワク感のある店内をイメージしました。 日用品店でのお買い物って確かに掘り出し物に出会う楽しみがありますね。 コレクションを仕上げていく最中にいろんな場所に足を運びますが心がときめくものって実は意外なところに眠っていたりします。 今回使用したフルーツチャームもなかなかいいのが見つからなくて。今のチャームってつるんと綺麗なものが多いのですが、人の手を感じるような凸凹とした立体感のあるものを探していました。足を運んでようやく見つけたものは既に廃盤になっていたので、お願いし昔の型を使用して作っていただきました。 昔の食料品店の陳列棚に敷かれていたような可愛らしいビニールは、棚の奥底に眠っていたものを発見して使用しています。温もりを感じるプロダクトは、懐かしい商品を販売する昔ながらの用品店にひっそりと佇んでいることが多いので欠かせない存在です。 今回ディッキーズとコラボレーションしましたが、イメージソースはありますか? スーパーマーケットに搬入するスタッフの制服をつくるイメージでデザインしました。スカートとパンツは以前制作したリボンデニムシリーズを復刻しています。ジャンパースカートはカッティングが綺麗なドレスを制作してから、プロダクトに落とし込んでいったのでカジュアルでありながらもIラインを強調するエレガントなデザインです。 企画デザインチームにもインタビューし、シリーズごとにまとめました。 ブドウレースシリーズ 日用品店にあるレースのカーテンをイメージしているので、実際にインテリアカーテンを作っている群馬県桐生の生地屋さんに依頼しています。カーテンなので、生地幅もありどのお洋服にも合う長さを考えたり、カーテン特有のハリをヴィンテージ調に落とし込むため柔らかさを出すのに苦戦しました。 カーテンの生地は、中山がニューヨークを訪れた際にカフェのウィンドウを飾っていたブドウ柄レースをインスピレーションにしています。 アニマルプリントシリーズ スーパーで販売している高級キャット・ドッグフードのパッケージから着想しました。フロッキープリントを混ぜ立体感を出し、お家でぬくぬく生活する愛らしい表情を手刺繍で表現しています。 スズラン刺繍シリーズ アメリカのレトロな日用品店にあるようなテーブルクロスの刺繍をイメージしたので、テーブルクロスの端に織られているジャガードのラインをテープ状のスズランで表現しています。今回のスズランはレトロさを意識して可愛らしい印象に仕上げました。家庭的な温もりを感じるMVLの刺繍は、中にウレタンをいれてふっくら立体的にしています。幼少期に作ったゴムブレスレットを想起するクリスタルビーズを周囲に散りばめ懐かしさを表現しました。 クロスピンシリーズ 日常に潜むアートの象徴として取り入れたクロスピン柄は、ヴィンテージ資料より見つけました。三角形のジャガード生地をベースにすることでよりグラフィックが映える仕上がりとなっています。ニットにはラメ糸を使用してクロスピンの金属を表現しました。 世界がガラリと変化し外出制限がされる中、ご近所への買い物やお散歩がリフレッシュの一つになることも多くなったかと思います。中山が身近な場所で発見した心ときめくプロダクトの数々をコレクションに落とし込んだMUVEIL 2021 PREFALL COLLECTION。キャッチーでありながらも、ハンドメイドが織りなす温かみを添えた衣服たちからご自身のお気に入りを探し出していただけたら嬉しいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。