MUVEIL MAGAZINE vol.54 2022 PREFALL いのちが芽吹く瞬間 アートに恋した女性の宝物にフォーカスした2022 PREFALL COLLECTION。 前回のMAGAZINEでは、インスピレーション源となった女性の生涯に焦点を当てました。 MUVEIL MAGAZINE vol.54では、MUVEILが描く世界を、ともに商品に落とし込んでくださる工場さんにインタビューしました。 DOG BUTTON コーデュロイスカートとDogアクセサリーに使用した犬の横顔が描かれたゴールドボタン。2022 PREFALLにあわせてオリジナルで制作しました。クラシカルなデザインは、紋章を彷彿します。余談ですが、西洋文化に基づいた紋章学では右(向かって左)が正、左が悪(向かって右)とされておりますので右を向いている横顔が使用されることが圧倒的に多いです。犬のボタンサンプルをデザインチームがコレクションしているお気に入りを集め、イメージを固めてきます。高貴な佇まいのボタンをつくるべく依頼したのは、60年つづくODEアクセサリーさん。 社長の尾崎氏にインタビューしました。 会社の紹介をお願い致します。 弊社は、父が60年前にアクセサリー製造をする目的に創業致しました。当時の、ロー付けと言う製作方法を、私が継承していますので、機械では出来ないデザインや、小ロット品物に対応出来ます。 ワンちゃんボタンの特徴を教えてください。 ワンチャンボタンは、元になる型に特徴が有ります。 最近は、3Dプリンターで作るメーカーさんが多いのですが、弊社はワックスを使って手作りします。今回は、この道40年の絶大な信頼を寄せる女性の職人さんに作ってもらいました。 ワックスを使ってどのように制作されるのでしょうか。 ワックスを削っては溶かして盛るという作業を繰り返し、ワンちゃんの毛並みや立体感を目視で確認しながら調整していきます。昔ながらの方法なのですが、作り手の感性やセンスがストレートに反映されるので、良い物を作るのは難しい作業です。 今回のボタンでは、手づくりの優しさや温かみを最大限表現するように努めました。コンピュータでは何度もプログラミングを直さなくてはならず、ここまで追い込む事は難しいと思います。 MUVEILはクラシックなボタンやパーツのセレクトをすることが多いですが、なかなか見つけることが難しくなってきたと耳にします。デコラティブなパーツを取り扱う場所が少なくなっているのでしょうか。 私の個人的な、見解です。 今まではボタン制作の世界はアナログな手作業が主流の業界でしたけど、最近の技術革新で、デジタルが主流となりつつあります。この根本的な作り方のアプローチの違いが、クラッシックやデコラティブな品物が少なくなった原因では無いかと考えます。 MUVEILとお取組みいただく際なにかこだわっていただいていることを教えていただけますと幸いです。 ブランドの世界観に、溶け込めるような品物を作るため手作業と機械を、上手に融合させながら温かみのある品物を作る努力をしております。 SMOCKING SERIES 襟や袖のポイントがエレガンスを引き出すスモッキングシリーズ。実は、刺繍の模様にMUVEILのMとVが隠されております。スモッキングとはヨーロッパに伝わる伝統的な刺繍で、元々は農夫が着る衣服に用いられました。布に細かくギャザーを寄せひだ山をつくり、その山をひと針ずつすくいながら模様を施していきます。布に伸縮性が生まれ立体的に縫いあげていくので、より多くの生地を使用でき動きやすいだけでなく防寒目的に重宝されました。次第に装飾性を高める側面が重宝され、伝統衣装や貴族の嗜みとして技術発展していきます。今回ストライプ生地へのスモッキングを依頼したフジサキ株式会社の竹之内氏にお話を伺います。 会社の紹介をお願い致します。 カットソー中心に生産、管理している会社です。素材の提案からプリントや刺繍、プリーツといった二次加工も合わせて手配しております。その中でも異素材使いの製品は依頼を多くいただいています。 今回ご制作いただいたスモッキングシリーズは細かな刺繍が目を見張りますが、どのような過程で制作されるのでしょうか。 刺繍の入る土台部分の端始末などを縫製するところからはじまります。スモッキング刺繍を施す際、弊社では横に12本の針が並んでいるミシンもしくは25本並んでいるもので使用しますが、今回は25本針刺繍機の内10本に縫い糸、ゴム糸、刺繍糸の3種類をセットして刺繍しました。 スモッキングシリーズで難しかった点はございますか。 柄をキレイに出す為にそれぞれの糸調子を合わせるのはもちろんですが特に衿部分に関して着用した際に首に沿う様左右のゴムの調整をして出来上がりが少しカーブする様にした所です。 MUVEILの商品を制作いただいていますが、大切にしてくださっていることはございますか。 毎回デザインが可愛いのでファーストサンプルが出来上がるのがいつも楽しみです。 縫製仕様やサイズを間違わない様にはもちろん気を付けるのですが、作っているのは人なのでそれぞれの工程に関わっていただいている工場の方々にも、MUVEILの商品を好きになってもらい楽しく生産できる様にと心がけています。 MUVEILが願うのは、身に纏う人にとって特別な1枚になること。着るときにだけ見える織ネーム、ボタンの糸の色やプリントに隠れた愛らしいモチーフだったり、眼鏡で見るこだわりが特別な存在へと変身させる魔法だと信じています。 衣服にいのちを吹きかけてくれる工場さんのこだわりをみなさまにお伝えしていければ幸いです。 MUVEIL MAGAZINE vol.54はここまで。 最後までお読みいただきありがとうございました。 2022.6