MUVEIL MAGAZINE vol.65 2023 CRUISE COLLECTION STORY by Michiko Nakayama 豊かさの追求 春を待ちわび、祝福するにふさわしい彩りで表現された MUVEIL 2023 CRUISE COLLECTION。 タイトルなる「THE SPRINGS OF JOY」は、絵本作家であり園芸家としても知られるターシャ・テューダーによる絵本の題名です。 自給自足していた19世紀アメリカの生活様式に憧れ、美しい景色を絵本と彼女の自宅に描きつづけたターシャ。 彼女が創造した喜びに満ちた景色を衣服に閉じこめました。 牧歌的な表情と温もりを宿すコレクションです。 商品一覧をみる コレクションのネームタグは、絵本の表紙のようなデザインに。 卵を温めるニワトリをメルヘンなタッチで描かれています。 MUVEIL MAGAZINE vol.65では、デザイナー・中山にテーマを選んだ理由や衣服に込めた想いを伺います。 DESIGNER'S INTERVIEW ターシャ・テューダーをコレクションに選んだきっかけを教えてください。 自然とともにじっくりと豊かに生きる彼女に惹かれました。四季折々を大事にして生きる豊かさを教えてくれます。彼女が夢見てつくった通称コーギー・ハウスは電気も通っていないほど徹底された暮らしぶりでしたが、メルヘンで華やかな気持ちに溢れていて。心温まる彼女の暮らしをコレクションに落とし込みたいと思ったところからはじまりました。 イメージソースはどちらから選ばれたのでしょうか。 画集や彼女のドキュメンタリー映画からイメージを作っていきました。 草花も動物も自宅のインテリアも彼女が丹精込めて育てられたから、自宅・庭どこをとっても彼女の息吹を感じられます。今回はそんな温かみを感じるコレクションになっているかと思います。 今回はいろんな種類の動物がモチーフになっていますね。 はい。全て実際ターシャさんが育てていた動物たちをモデルにしています。 愛情を注いでもらって安心して生きているのが伝わってきて、絵本に出てきそうな優しい表情になるように尽力しました。 ウマニットプルオーバー / ヤギニットプルオーバー ニワトリニットプルオーバー / ヒツジニットプルオーバー 今回のコレクションで中山さんが考える特徴的な部分はどこでしょうか。 今回はキルトづくりに試行錯誤しました。リアルキルトもそうですが、ヴィンテージのプリントをコラージュして制作したキルトプリントもこだわりを詰め込んでいます。キルトの牧歌的な表情に少しエッジを与えるためステッチにネオンの糸を使用したりカラートーンにこだわったので、現代的に着ていただけるかと思います。 刺繍はいつもより家庭的なのが特徴です。難しいステッチは使用せず、お母さんやおばあちゃんが見本を見ながら作ってくれたような優しさを表現しています。 パッチワークブルゾン / パッチワークスカート マルチプリントワンピース どのように着ていただきたいでしょうか。 忙しなく生きているとアプリで気温を見て季節を捉えて、窓のカーテンを開けることの大切さを忘れがちです。 空気の香りを嗅いだり、春の芽吹きを待ちわびたり。その日感じたフィーリングで自由に着こなしてください。 優しい気持ちになって気づくささやかな変化を見つけられるお手伝いになれたら嬉しく思います。 「人生は短いから不幸で居る暇なんてない。気づいていない人が多いけど。」 ターシャ・テューダーがドキュメンタリーの中で発していたこの言葉にハッとさせられました。 今この瞬間を楽しむことを忘れずに、日々がもたらす小さな喜びに気づくこと。2023 CRUISE COLLECTION のお洋服が、そのお手伝いをできれば嬉しく思います。 MUVEIL MAGAZINE vol.65はここまで。 最後までお読みいただきありがとうございました。 2022.11