2023 SPRING SUMMER MAKING OF



MUVEIL MAGAZINE
vol.69
2023 SPRING SUMMER COLLECTION
INTERVIEW AND MAKING OF
フリーダムなイマジネーションを纏って

2023 SPRING SUMMER COLLECTIONのテーマとなる
プリミティブ・アート。
純粋な願いの物語を投影する芸術をインスピレーションとして、クラフトを感じる技法を取り入れながらハピネスなコレクションを制作しました。






デザイナー・中山とプリミティブ・アートの出会いは、図書館。子ども向けにプリミティブ・アートを説明した本に登場する、現実と超現実が仲良く暮らす世界に胸を打たれました。
売りものとしてでなく祈りをこめて創造された作品は、目に見える姿かたちに囚われない自由な思想が宿っています。

そんな作品の遊び心と温もりを既製服に落とし込んでいった2023 SPRING SUMMER COLLECTIONは、幾何学模様やプリントにも手作業を感じる不均一性やリズムを感じるディテールが特徴となっています。
MUVEIL MAGAZINE vol.69では、MUVEILのパタンナーにインタビューしました。
折ったり切ったり。図形操作のなかで生み出されたディテールサンプルの数々を、衣服に落とし込んでいった過程を伺います。

LINEN SERIES


パフスリーブリネンブラウス / ピンタックリネンワンピース / サイドトリムリネンパンツ

プリミティブ・アート作品にしばし登場するジグザグ模様。木彫りで表現される幾何学柄を三角レースで表現しました。デザイナーのお気に入りポイントはブラウスとワンピースの襟ぐり部分。こちらは折り紙のように四つ折りにした三角を何枚も連ねていくので工場さんにとって大変な作業にはなりますが、人の手でつくられるささやかな不規則性が愛らしいポイントになっているとのこと。フレンチリネン糸を使用した軽やかな素材を生かした絶妙なシルエットの秘密を伺います。


リネンシリーズのシルエットの特徴を教えてください。


ブラウスとワンピースはふんわりと広がるボリュームが特徴です。ワンピースは前身ごろと背中部分にピンタックを施しています。ピンタック止りは、あえて微妙に斜めにすることでより立体感が生まれる仕様にしました。袖はギャザーを寄せていますが、ワンピースの場合肩が当たる部分なので見返しの当て布をしてギャザーが開きすぎないようになっています。




パンツのシルエットは如何でしょうか。


三角レースと幅広めなウエストベルトがポイントになっているので、ボリューム過多とならないようにフロント部分にスリットを取り入れて抜け感をだしています。ストンと落ちるストレートなシルエットは足のラインを拾わずエレガントなシルエットを意識しました。細かなことにはなりますがもたつきを軽減するため股ぐりの裏地と表地を一緒に縫製していますので着心地もよいかと思いますよ。


BOLUME TACK BLOUSE &
STICH PLEATS SKIRT



ボリュームタックブラウス / ステッチプリーツスカート

クリーンなコットンブロード生地にタックやDリングがリズミカルなブラウスとスカート。舞踊に用いられる民族衣装をイメージして、動くたびに音楽を奏でてくれそうな装飾を施しています。楽しいリズムを刻みながらも全て同色で揃えることでアーバンな表情に。こだわりの詰まったディテールを紐解きます。





ブラウスのこだわりを教えてください。


ハシゴレースとピンタックでふんわりとしたAラインシルエットが特徴です。身ごろは裾部分のタックを縫い合わせますので広がり切らずに生地の分量を楽しんでいただけるかなと思います。袖はハシゴレース部分にボリュームが出ますので袖裾部分が丸く広がるボリュームスリーブです。身頃や袖にふんだんに縫製が入るので技術を要します。工場さんが作りやすい工程を考えることもパタンナーの役目ですので、考えるのに苦労しました。 ハシゴレースを接いだ扇形の生地を作成し繋げていってから衣服の形に裁断することで差異が生まれず、絶妙なシルエットが作り出されます。 もう一つのこだわりはDリングパーツ。これは、少しだけ重なる連なりとなっていますので1点1点テープで止めています。少しの差に見えますがこの手間ひまが立体的な表情を生み出しているんです。




スカートのボリュームも絶妙ですね。


ボリュームは欲しいけど、スッキリ見えるようにプリーツは細くすることを実現するため、奥に隠れヒダの幅を表より広く取ってボリュームアップしています。タックを途中までグログランテープでくるんでいるのですが、タックの最後までステッチを掛けることでスーッと下まで筋が通った綺麗なラインを楽しんでいただけるかと思います。




MUVEIL MAGAZINE vol.69はここまで。
ブランドの世界観をきちんと表現しながら、纏ったときに美しく快適に過ごせるシルエットを生み出すパタンナーのインタビューを中心にご紹介した2023 SPRING SUMMER COLLECTION。 春の光はもうすぐ。MUVEILとともに陽射しを満喫していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2023.2