MUVEIL MAGAZINE vol.78 2023 AUTUMN WINTER WORKING PROGRESS 纏って気づくこと。 映画『マリリンとアインシュタイン(原題:Insignificance)』を着想源に、コケティッシュな女性像とトラッドな紳士像を多層的に重ねたMUVEIL 2023 AUTUMN WINTER COLLECTION。マリリン・モンローをミューズとしながら彼女を取り巻く作中人物にもフォーカスしました。1950年代を彷彿するワードローブに、個々が心に秘める儚さや弱さをチュールやレースを繊細に折り重ねて表現しています。 マリリン・モンローが好きなブラック・グレー・ベージュ・ホワイトのスタンダードカラーに、ピンクベージュやスモーキーなグリーンでニュアンスを。フェミニンとマスキュリンを融合しながら、自由にファッションを楽しむエレガントなスタイルを提案します。 商品一覧をみる MUVEIL MAGAZINE vol.78では、コレクションのシグネチャーピースの制作過程をインタビューしました。 INTERVIEW ABOUT VELOURS SALOPETTE ベロアサロペット / チュールシャツブラウス マリリンが愛用したベロア地を使用したサロペット。 膨らみ感とやわらかさを持ち合わせたクラシックなベロアを採用し、胸元のカッティングで女性らしいラインを作りながらも、ゆとりあるテーパード型のパンツでリラックスしてご着用いただけます。 パターンを制作したMUVEILアトリエのパタンナーにお話を伺います。 パタンナーの仕事に関して教えてください。パタンナーというと衣服の設計をする人というイメージですが、どのようなお仕事でしょうか。 デザイン画とディテールが決まり、素材をセレクトしてからそれを立体に落とし込む作業を担います。シーチング(生成りの木綿の生地)や似寄りの生地でトワル(お洋服の形)をつくり、実際に着用し修正しながらサンプル用のパターンを作成するのが最初の過程です。次に実際の生地でサンプルを作り再度着用の修正を行い、今度は生地の特性に合わせて型紙を修正します。デザイナーの意向、工場さんでの工程、お客さまの着用感、と多様な視点をもってミュベールの世界感がまとまるようにシルエットを考えていくんです。納品までに検品と修正を繰り返し工場さんと打ち合わせを経て、商品として送り出します。 MUVEILのパターンに込めているこだわりはなんでしょうか。 ミュベールの世界感やディテールに寄り添いながら、大人の女性が着やすいシルエットを目指しています。素材がもつ特徴と相反する要素を加えるようこともそのひとつです。例えばリュクスな素材であれば少しラフなパターンを設計することで、様々なシーンで着用いただけるようにしたり。やはりたくさん着用いただけた方が嬉しいですから。カジュアルな素材はあえてキレイ目なシルエットにすることで、品性を大切にします。 実際に着用しながら何度も修正するボトムスは、こだわりを詰めているので是非チャレンジして欲しいです。ご愛用くださっているお客さまとの信頼関係を大切にシーズンが変わってもサイズ感が変わらないように気を付けたり、幅広い年齢層の方の身体になじむ工夫をしています。 難しかった点を教えてくださいませ。 やはり胸元のカッティングでしょうか。柔らかくて質量が少しあるベロア地なのでラインを美しく引き出すのが難しかったです。固いパッドを入れてしまうと生地の魅力も着心地も変わってしまうため、試行錯誤の末固めの裏地とウレタンシートのパッドを中に入れて自然な膨らみを実現することができました。胸元を強調しすぎない品のあるデザインになったかと思います。 試着してみると快適な着心地だったのですがこだわった点は他にもございますか。 エレガントなラインでありながら着心地は良く仕上げるため、裏地にはこだわりました。上半身前部分は先ほど伝えたように少し固めの裏地でハリ感を出しながら、後ろはカットソーの裏地にして伸縮性をもたせております。細いストラップで柔らかい生地のため後ろがよれてしまう可能性があったので、後ろ身頃に薄いゴムをだかせて外からは目立たずとも背中に沿ってくれる仕様です。 下半身の裏地はストレッチ性のあるソフトな生地になっています。ゆったりとしたテーパードなラインで前だけタックをとっていますので落ち感がいいです。 スタイリングによってオケージョンからデイリーまで楽しんでいただける形に仕上がったのではないでしょうか。 SOUTIEN COLLAR COAT WITH LINER ライナー付きステンコート / パール付リブプルオーバー / チュールフリルスカート 異なるテイストのアウター2着を1つのアイテムに合わせたライナー付きステンカラーコート。 ステンカラーコートは、綿糸の風合いを生かした中肉のギャバジン素材。ポリエステルとの絶妙なシャンブレーとややオーバーサイズなシルエットで、オーセンティックなステンカラーコートとしての風格を備えています。 衿の裏側にはウールのチェック地が使用され、裏地にはチェックプリントが施し、トラディショナルで紳士的な雰囲気に。 一方ライナーは、スカラップレースやチロリアンテープをあしらい、レディライクに仕上げました。75dの梨地を薄綿でキルティング。繊細な素材にステッチワークでポイントを添えています。 このアイテムを生産くださった前川洋裁工房株式会社にお話を伺います。 以前よりMUVEILを生産いただいておりますが、MUVEILの特徴や生産時に意識されていることはございますか。 ブランドの特徴として、手作業による刺繍、ビーズや多種多様なパーツの使用、そして配色があげられます。 生産の際には、商品の意図を的確に読み取ること、デザイナーである中山さんが納得するような商品を作り出すこと、複雑なデザインを単純化して作業効率を高めること、そして最終的には自然な仕上がりを目指すことが重要視されます。MUVEILさんはこうしたこだわりを持って、高品質な商品を作り続けているのではないでしょうか。 ライナー付きステンコートは単体でも合わせて着用してももたつかず感動しました。こだわっていただいた箇所はございますか。 あくまで単体で着用できる2着のコートとして作っていますが、2枚でも着用できるようにするため、そで下のもたつきが軽減されたパターンになっています。パタンナーさんがかなりこだわっておりました。後ろにラグラン線は入っていないですが、そで下に切り替えを入れて立体的に仕上げているので2枚重ねて着ても動きやすくなっているのではないでしょうか。 難しかった点を教えてくださいませ。 ライナーは繊細な素材を使用してることもあって、パイピングをきれいにする事とライナー端スカラップレースの髭をスカラップ状に均等に出すことが難しかったです。このスカラップレースは単体ではもちろん、2着合わせた際も袖からレースが見えるようになっているので細部に込めたこだわりに見ていただけたら嬉しいです。 MUVEIL MAGAZINE vol.78はここまで。 ご協力いただきありがとうございました。 お洋服は着用してるときに、その魅力が最大限に放たれるようにつくること。また纏いたくなるための細かなこだわりを9月に開催するポップアップイベントにて体感いただけたら幸いです。 POP UP 詳細はこちら MUVEIL MAGAZINE vol.78はここまで。 最後までお読みいただきありがとうございました。 2023.8