Vol.92 2024 SPRING SUMMER CAPSULE COLLECTION INTERVIEW WITH Olivier Kervern

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MUVEIL MAGAZINE
vol.92
2024 SPRING SUMMER CAPSULE COLLECTION

INTERVIEW WITH Olivier Kervern
シンパシーから生まれるもの


4/3(水)より、MUVEIL 2024 SPRING SUMMER
CAPSULE COLLECTIONの発売を記念して、
伊勢丹新宿店にてPOP-UP EVENTも開催いたします。




2024 SPRING SUMMER CAPSULE COLLECTIONは、
子ども時代に学校の授業で球根植物を育てた追憶から生まれたと語るデザイナー・中山。

「冬の寒さに耐えたふっくらした球根から根が伸び、
少しずつ芽が育っていく様を見守るのが
日々の楽しみでした。
春の訪れとともに花開いた瞬間、
生命のエネルギーにつよく感動したことを
今も鮮明に覚えています。」

植物図鑑を広げたようなプリントや、
球根を忠実に表現したアップリケ刺繍、
花芽をつけたチューリップを植えたようなお洋服など
春の喜びを落とし込んでいます。




コレクションの写真を手掛けたのは、
アートからファッションまで分野を横断し活躍する
フランス在住フォトグラファー、
Olivier Kervern (オリヴィエ・ケルヴェーン)さん。
国外有名ブランドのビジュアルを
継続的に手掛けており、
フィルム写真で撮影する彼の作品を見た方も
多いのではないのでしょうか。




日本を訪れた際に撮影した写真で構成された白黒写真集
『Fin D'Automne』や『profession d’un sentimental』 が再復刊になった際
日本を巡回するイベントも開催されるなど日本国内でも注目されつづけています。

その瞬間だけでなく被写体の奥に内包される時間の移ろいまで感じ取れるような
写真を撮り続けるOlivierさんにお話を伺います。

Q
フィルム写真であることがOlivierさんの作品においてひとつの特徴として挙げられるかと思いますが、フィルム撮影へのこだわりをおしえてください。

A
「写真を撮りはじめた90年代の終わりから2000年代初頭にかけて、写真のデジタル技術はまだ普及していなかったよ。
フィルムから写真をはじめたこともあって、写真を粗悪なコピーのようなものに変えるのは理不尽に思えた。
写真のデジタル化が進み、いろんな人が「もうフィルムを買わなくていいんだ!」と言っていたのを覚えている。私はバーやレストランにお金を使ってしまうから、フィルムに使う方がもっといいと思うしね。

フィルムは制約が多いこともあるけど、沢山の可能性も秘めている。
例えば写真のフォーマットについて、正方形とパノラマでは異なるから、様々な角度で捉えて撮ってみる必要があるんだ。もちろん、様々なタイプのカメラで試すことも大切だ。
フォーマットには、それぞれの現実との関係、撮影する人々との関係などが関係してくると思っているからとても大切な要素だと思っている。



Q
今回の撮影のプロジェクトを受け入れてくれた理由はなんでしょうか。

A
今回沢山私たちのサポートをしてくれたMUVEILの中山さんはじめスタッフの方とは以前から交流があったよ。中山さんとはパリでも東京でも会ったことがある。お互いの言葉を話せないから緻密なコミュニケーションは取れなくとも、沈黙や視線、お互いの視点による時間を共に過ごしたと思っている。だから、今回のプロジェクトに賛同しやすかったよ。でも、もし場所がパリだったらやらなかっただろうね。
さまざまな理由で日本へ行くのは本当に好きだし、写真を通して日本で仕事ができることは本当に嬉しいことだ。



Q
今回のコレクションは、中山自身が小学校時代に育てた球根植物をとおして掴んだ「センス・オブ・ワンダー(喜び・驚きが入り混じる不思議な感覚)」が源泉となっております。写真を撮影するにあたってこの源泉をどう解釈しましたか。

A
意図する部分と受け取り方によって、これはどんな方向へも解釈できることだから、説明をするのが難しいね。
人間関係における並列的なものの響きがある気がするよ。私たちが数世紀前の音楽を愛するように、時間や場所は異なっていても、シンパシーを感じることができると思っている。



Q
撮影のロケ地として日本を選んだ理由を教えてください。

A
私は常に日本を撮影地に選んでいるのだけど、それが実行されることは滅多になくて、、
今回のプロジェクトにおいて大切なポイントになったのは、とにかく場所選びに関して私が選ぶことを尊重してくれたことかもしれない。とても自由に取り組むことができたよ。



Q
実際に撮影をしてみていかがでしたか。

A
昨年は暑い夏だったよ、、ほとんど呼吸ができないほどにね。
でもとてもロマンがあって、奇異でもあって、好きだったよ。



Q
最後に作品をとおしてOlivierさんが映し出したかったことを教えてください。

A
私が何を考えているかより、みんなの解釈が面白いものになると思っている。
各々で感じ取るものがあれば嬉しいよ。

Translate by Nanako OKA

ご協力いただきありがとうございました。

POP-UP EVENTでは、今回のプロジェクトの作品とともにOlivierさんの他作品のコーナーも設置しております。彼の写真を見ながら、新たな物語が心の中で紡がれることを楽しんでいただければ幸いです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

http://olivierkervern.com/ instagram

2024.04