vol.98 2024 AUTUMN WINTER COLLECTION COLLECTION STORY

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MUVEIL MAGAZINE
vol.98
2024 AUTUMN WINTER COLLECTION
COLLECTION STORY
ふくよかな言葉

人々の心に温もりを灯す童謡詩人・金子みすゞの作品からインスピレーションを得た
2024 AUTUMN WINTER COLLECTION。

MUVEIL MAGAZINE vol.98では、彼女とその作品についてご紹介いたします。

1903年に山口県で生まれた金子みすゞは、下関市にある書店で働きながら20歳で詩作をはじめます。当時の日本は、児童文化が見直され絵本をはじめとした児童文学が多く出版され、童話童謡雑誌が多く創刊されていました。

詩作に取り組んですぐ、「婦人画報」を含む4つの雑誌に投稿したすべての作品が掲載されるという輝かしい鮮烈なデビューを果たしています。



当時児童文学の第一人者の一人であった西條八十に「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛された彼女の作品は、難しい言葉を使わずに、感性豊かに世界の隅々まで目を向けていました。

しかし、23歳で結婚をすると同時に制作活動を夫に禁じられ、自由に作家活動ができなくなった後に離婚。子どもの親権は父親しかない時代に、幼い娘を守るため26歳という若さでこの世を去ります。


金子みすゞイラスト


短い作家人生であったにもかかわらず、500編以上の詩を作り上げた金子みすゞ。
生前詩集が出版されることはなく、長い間忘れ去られていましたが、没後50年の歳月を経て詩集が出版されて改めて注目を浴びました。



彼女の作品に取り上げられる主人公は、私たちの日常に潜むものたち。
ふくよかな言葉で、改めてその愛おしさに気づかされるモチーフをご紹介いたします。


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LOOK STYLE: LEFT / RIGHT

さくらんぼ
まんまるに熟した実を敷き詰めたオリジナルプリントや揺れるチャームとしてCOLLECTIONに登場するさくらんぼ。
「りこうな桜んぼ」と題した作品に登場する、食べられない様にかくれんぼするさくらんぼをモチーフとしています。
さくらんぼが隠れるのは自分が食べられることで争いや悲しみが起こることを避けるため。熟れてない中で鳥が食べたらおなかが痛くなるかもしれないし、子どもたち2人に見つかったらどちらが食べるかで争いが起きてしまう。
自己的な欲望ではなく、他者への思いやりを第一に行動する姿にハッとさせられます。


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LOOK STYLE: LEFT / RIGHT

星とたんぽぽ
昼間の星たちと冬のたんぽぽを綴った「星とたんぽぽ」。愛溢れる描写表現とともに、見えないけどそこにあるということを詠った作品。見えるものに傾倒してしまう日々に大切なまなざしを教えてくれます。
コレクションでは、鮮やかなカラーのプリントやキラキラと輝くパーツで美しい姿を表現しました。


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LOOK STYLE: LEFT / RIGHT


花を濡らす露を涙にたとえ、その花が泣いていることを秘密にすることを明かす「露」という作品。
何故秘密にするかというと、蜂がそのことを知ったら蜜を花に返しに行ってしまうからと登場人物全てが思いやりに満たされた作品です。
みずみずしいフェザーラメや偏光のスパンコールを使って落とし込んでいます。



日々目にするような風景に思いやりと真理をまっすぐに描く金子みすゞの世界。
どの作品もすぐに読めるので是非手に取ってみてください。

MUVEIL MAGAZINE vol.98はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました。

2024.09