2024 CRUISE COLLECTION



MUVEIL MAGAZINE
vol.86
2024 CRUISE COLLECTION
INTERVIEW AND MAKING OF

衣服に落とし込む過程

20世紀を代表する詩人の1人である立原道造が描いた美しく透き通った景色を紡いだ
MUVEIL 2024 CRUISE COLLECTION。
MUVEIL MAGAZINE vol.83では、
立原道造の詩についてご紹介しました。
Vol.86では衣服に落とし込む過程にフォーカスします。

立原氏の詩に登場するツバメをヴィンテージライクなモチーフでプリント。
シボ感のあるデシン素材にシャーリングを施し、リズム感のあるシルエットに仕上げました。
生地に立体感を生むシャーリングのバランスにこだわったパタンナーにお話を伺いました。

Q
ツバメプリントシリーズにおけるパターンの特徴はなんでしょうか。


シャーリングが特徴的です。シャーリングは身体に沿う特性があるので女性らしさがでますが、ボディラインが出過ぎてしまう場合もあります。
今回は、身体に沿い過ぎない絶妙なラインを生みだすことに専念しました。






Q
どのような手法で実現したのでしょうか。


異なるシャーリング手法を2種類使用しました。
1つは刺繍屋に依頼して、裏側チェーンステッチにした手法です。綺麗なシャーリングが生まれますが倍率が同じになってしまうため、部位によって変化させることができなくなります。そこでゴムを使用してあがり寸法を調節できるようにいたしました。
ボディラインで強調したくないところは空気の層を纏って、止めたいところはゴムが沿うので穏やかなメリハリがついたシルエットに仕上げています。




Q
アイテムによって仕様が変わるのでしょうか。


そうです。ブラウスはステッチで身体に沿わないくらいのシャーリングを施していますが、ウエスト後ろ部分のみにゴムを入れているのでふんわりとペプラムなラインが生まれます。
パンツはしっかりとウエストで止まるように後ろに太めのゴムでホールドしながら、シャーリングはゆるやかなので腰や下腹部はボディラインが気になりません。
ドレスは、バスト上部分のみ1本ゴムシャーリングで中心にギャザーを寄せました。




Q
他にもこだわった点がありましたら教えてください。


ワンピースは腰下部分サイドにマチを入れました。マチがないと腰に沿ってしまうので気になる箇所のラインを美しく見せてAラインの裾を強調しています。
袖に関してはブラウスとともに、ピボット袖と言われる袖下に余裕をもたせた仕様にしています。マチを付けることでシャーリングが綺麗に見えやすいだけでなく腕も上げやすいです。
どのこだわりも実際に纏ったときに気づいていただけるのではないかと思います。リラックスな着心地を体感いただけたら嬉しいです。



BAY WINDOW LACE SERIES


出窓レースコート / ツバメプリントワンピース / タックレースフリルワンピース / 窓辺レースバッグ

立原道造が大切にしていた窓を
オリジナルレースで制作しました。
光が降り注ぐ大きな出窓をイメージして
大胆なカットレースで表現。
窓には花を飾ることが大切と語った
立原氏のお気に入りだった、
アザミ・ヒナゲシ・ヒヤシンスの花を
モチーフに取り入れています。
今回は、オリジナルレースをつくっていただいた
(株)ファニーにお話を伺います。


Q
御社のご紹介をお願い致します。


エンブロイダリーレースに特化した企画、開発がメインです。エンブロイダリーレースには、機械の規格に合わせたデザインと専用のパンチングデータ(運針データ)が必要となるため、レースデザイナーとレースパンチャーが在籍しております。
工場を持たずに企画に特化しているので各ブランドのニーズに合わせたものづくりができますし、さまざまな工場にご協力いただいておりますので、幅広い商品開発にも繋がっております。




Q
今回製作いただいたレースはどのような過程で制作されるのでしょうか?


MUVEILさんのイメージをレースの規格に落とし込み、パンチングデータを作成。その後カットワークの表現やステッチのイメージを確認しながら、パンチングデータが完成となります。
ラベンダーについては基布もオリジナルカラーとなるのでレース生産前に染色後、レースの生産工程に入っています。




Q
難しかった点はございますか。


大胆なカットワークを施したデザインとなる為、パンチングにはものすごく苦労しました。
カットワーク部分は綺麗に生地を抜けるよう何度もパンチングデータを修正し、刺繍部分のボリューム感もステッチの細かな角度までこだわりました。






Q
オリジナルレース制作において長年お世話になっておりますが、MUVEILの制作においてこだわっていただいている点がございましたら教えてください。


毎回進行前に入念に打ち合わせをし、テクニック面よりも世界観や製品の方向性等を重視してイメージを共有することを心がけております。
バラの花一つをとっても表現の仕方によってまったく違う花となります。この感性の部分を共有し、形にするのが毎回注意しているところであり弊社のこだわりとなります。



ご協力いただきありがとうございました。
目にした時の感動、纏ったときの美しさ。どちらも楽しんでもらえるように試行錯誤を繰り返しながら完成していく衣服の数々。手に取って味わっていただければ嬉しく思います。

MUVEIL MAGAZINE vol.86はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。


2023.12